海苔を楽しむ 初摘み海苔巻あられ

和菓子

阪神百貨店梅田本店にある、長岡京小倉山荘さん。ここのあられは、手土産などで誰もが(特に関西人は)一度はいただいたことがあるのではないでしょうか。
全国のデパ地下などに店舗を持つ米菓子のお店です。

重々しくない手土産を探してデパ地下をウロウロしていたところ目に留まったのが、通路側にディスプレイされていた「初摘み海苔巻あられ」。
「初摘み海苔」の言葉に惹かれてまじまじと見てみると、長方形のあられに、サイズぴったりの海苔が巻かれています。
あられの姿が見えません…黒々と光った海苔ですっぽりと覆われた姿が、他の物とは違いますよ、という風格を感じさせてくれます。

化粧箱に入って、お値段もお手頃。個包装。そして軽くて日持ちもする。
探し求めていた条件にぴったりでこちらに決めました。

ただ、自分が食べたことがないものをお渡しするのがちょっと不安…そして、何より私も食べたい…ということで、自分用にも購入しました。
化粧箱入りではなく、自宅用の袋入りも売っています。痒い所に手が届く。素晴しい。

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化粧箱入(20枚)1080円 袋入(12枚)540円
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試食タイム

個包装の袋はマットで高級感があります。
ツヤツヤの海苔で隠された薄いおかき。初摘みの海苔の香りがふわりと広がります。サクっとした軽い食感の後には海苔の風味が鼻から抜ける感じで、名前の通り海苔が主役のあられです。
薄いあられも、海苔をしっかりと感じられる良いバランス。
海苔の風味と、出汁の利いた醤油味がとても美味しいです。
それにしても、さすが専門店。あられの食感が本当に絶妙。硬すぎず、柔らかすぎず、心地よい歯触りです。

パッケージの歌

小倉山荘さんは、商品に百人一首の歌を添えていて、密かな平安時代ファンである私の心をくすぐります。
今回の初摘み海苔あられには、
「音にきく 高志の浜の あだ波は かけじや袖の 濡れもこそすれ」
と書かれています。海苔が主役の商品なので、海の歌が添えられているのでしょうか。
こういうのを見ると、まずは自分で訳してみたくなってしまう性分です。学生時代の古文を思い出しながら

噂に聞く高志の浜の儚い波にはかからないようにしましょう。袖が濡れてしまうから。(浮気者で名高いあなたの誘いには乗りませんよ、泣く羽目になってしまいますからね)

という感じでしょうか。
小倉山荘さんのWEBサイトには、百人一首の解説やコラムが充実しており、見ていると気持ちが豊かになります。
この歌の解説を見ると、どうやら29歳の男性から70代の女性に詠まれた恋歌への返歌だそう。歌会の場でのやりとりらしく、解説には「29歳の若き俊忠が70代女房・紀伊に恋歌を贈るというのはちょっと皮肉な感じもします」と書かれています。
そんな皮肉に対して、粋な返しをしたおばあちゃま。
かっこいいじゃないですか。
私だったら「からかうんじゃないよ、若造。」と言いたくなるんですが、沢山の人の前で交わす歌。「(私が)悲しい思いをするのは嫌だから」というような配慮のある断り方は素敵ですね。公の場での配慮を忘れない慎ましい大人の女を感じました。私ももういい大人。我が身を顧みるとお恥ずかしい限りです。

先ほどは、「泣く羽目になってしまいますからね」と少し強気な感じに訳してみましたが、背景を知ると「(本気になっても)泣かされるのは私ですから…」と相手を責めない表現が相応しいのかな、と思いました。

ちなみに、私は古典を深く学んだ訳ではなく学生時代に受けた授業の知識だけですので、あくまで私の印象ということで。

和のお菓子はストーリーのあるものが多く、食べる以外でも楽しめます。
あぁ、学生時代、古典をもっと勉強しておけばよかった。
今からでも遅くはないですね。

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